2002年(平成14年)2月13日(水曜日)読売新聞に載った記事のように、近年国民の理科離れが進んでいると言われている。また、小学校においても、「理科」が始まる中学年の頃はほとんどの子どもたちが理科が好きだが、学年が進むに従って理科が苦手だ、理科が嫌いだという子どもが増える傾向がある。子どもたちの自然の事物や現象に対する興味・関心も同じような傾向にあると考えられる。
小学校の理科教育では、生涯にわたる科学教育の第一歩として、長く自然界の事象等に関心を持ち、科学的に探求していこうとする態度の礎を身につけさせることが第一であると考える。
同時に、学年が進んだときに効率よく追求活動ができるよう、基礎的な知識や技能も確実に身につけていくことも必要であると考える。
そこで本年度は、「理科」を窓口に「気づき・考え・実感する 理科・生活科学習の創造」を研究テーマに研究を進めていくことにした。
(2)主題設定の理由
(1)研究主題
気づき・考え・実感する 理科・生活科学習の創造
サブテーマ
〜子どもの把握と個に応じた学習の工夫〜
早朝昇降口の前に、メジロやシジュウカラ・ヤマガラ・ホオジロがやってきたり、近くの川にオヤニラミがいたりと、本校の子どもたちの周囲には豊かな自然環境がある。しかし、そのことを意識している児童は少ない。子どもたちの周囲にあふれる現象などに、科学的な目を向けさせ、「不思議だな」「調べてみたいな」といった思いが持てるようにするのも、理科学習の大事な役割であると考える。
子どもたちが漠然と抱いた「不思議だな」「調べてみたいな」といった思いを、追求が可能なかたちに具体化したり、子どもたちが発見した現象を近いしやすい形に整理したり、追求の課程を振り返り科学的な見方や考え方を養うためには「考える」活動が必要である。「考える」活動の方法にも、一人でじっくりと考える、クラスで、少人数で、二人で話し合う中で考える、実験や観察を繰り返す中で考える、表現活動の中で考える、といったように様々なかたちがある。目的や子どもたちの実態に応じた方法を考えていきたい。
基礎的な知識や技能も大切にしていきたいが、その知識や技能を生きて働くようにするためには、「実感」を伴うことが大切であると考える。学習の中に、意図的に子どもたちの心を動かすような場面を仕組み、「実感」を伴った活動などができるように工夫をしていきたい。
また、サブテーマを、「子どもの把握と個に応じた学習の工夫」とした。
本校では、昨年度、LD児を中心とした、多様な学習能力や学習スタイルの児童に対応する学習方法の研究を行ってきた。
どこのクラスにも、「言葉のみによって情報を取り入れることが苦手」「ある程度知識は持っていても、抽象的で高度な理解になると難しい」「場面転換が苦手」「作文の表現力や漢字を書く力に遅れがある」など、学習の獲得に特徴やアンバランスを示す、いわゆる「LD児」と思われる子どもたちが含まれる。このような子どもたちに対しては、その子の認知特性に沿った指導の工夫が必要となる。主体的に学習する力を培うには、「LD児」はもちろんのこと、様々なプロフィールを持つ子どもの特性をしっかりと把握していないと、個に応じた学習の工夫をすることは難しい。 昨年度は算数科と国語科で研究を行ってきたが、本年度はこれらの成果を理科学習の中でも生かして行きたい。