2009年度 校内研究


研究主題

「感じたこと・考えたことを、自信を持って伝え合う子どもの育成」
サブテーマ 〜楽しさ・感動・喜びのある学習を目指して〜
研究教科等 教科等 (全領域で)

平成21年度湖南市教育奨励事業において、
本研究は審査員特別賞を受賞しました。


1.はじめに

子どもたちが毎日の生活において自分の思いをしっかりと持ち、自分の考えを深め、感じたことや考えたことを、自分なりの表現方法で自信を持って豊かに表現できるようになって欲しいと願い、本主題を設定した。

本校は平成17年度より滋賀県教育委員会の「国語力向上事業推進校」の地域指定を受け、平成17・18年度は国語科を中心に、また平成19年度は音楽科を中心として、各教科における国語力の向上を目指し研究を深めてきた。昨年度はその取り組みを土台として、研究教科を全教科領域等に広げ、さらに子どもたちの国語力向上を目指し、特に子どもに身につけさせるべき基礎・基本の力「聞く・話す」に焦点を当て「聞く力・話す力」の育成を目指す指導法のあり方を追究してきた。

本研究では、授業研究とともに、研究集団を3つの研究部に分け、取り組みを進めた。

授業改善部では、国語力系統表を作成し、それぞれの学年や学級で「つけたい国語力」を明確にし、授業研究で検討し深めてきた。その結果、全領域において各学年に応じた国語力をつけていくことが、これからの子どもたちの育ちを支えていく大きな力となることを実感した。今年度は、さらに各教科の特性と国語力の関連を考えていくと共に、教科・単元ごとに系統表をもとにして「つけたい国語力」を具現化していくことが課題である。また、学習を支える基礎的な力として、じっくりと書く力、板書を書き写す力、自分で学習を進めていく力も育てていきたい。

言語環境部では、子どもたちが言葉に関心を持つために、言語感覚を磨く環境作りに取り組んだ。掲示物の充実や「聴く・話す系統表」の作成のほか、詩の音読・群読・暗唱の取り組み、ことのはコンクール、小さな詩人たち事業への取り組みにより、子どもたちが言葉に関心を持ち大切にしようとする姿が見えてきたと思われる。今年度もこれらの取り組みを継承することにより、子どもたちの言葉への関心や言葉を大切にする態度も養うことができると考える。

図書館教育部が取り組んできた、朝の読書タイムの充実(担任交換の読み聞かせ)、図書ボランティアさんによるお話会、読書資料の充実、図書資料の活用、学校図書館を利用した学習などにより、子どもたちの読書への関心は高まってきている。さらに、読書の楽しさや図書への出会いを指導者が工夫していくことが、子どもたちの語彙を増やすことにもつながると考える。

学習に臨むにあたり、一番必要とされるのは「聞く」ことである。相手の話をしっかり聞くことによって、相手を理解できる。聞くことによって、自分の考えが持てる。また、「話す」という表現活動は自己表現であり、自己実現の一つであり、大事な要素であると考える。「自分の思いをみんなに伝えたい」「こんなことを調べたから言いたい」という学習意欲や、自分のことや考えを「分かって欲しい」「認めて欲しい」という誰もが持っている願いを満足させることにもなる。しっかり聞いて「わかった」「できた」、自分の考えを自分の言葉で話して「うれしい」「楽しい」、そんな学習を展開していきたい。子どもたちが学習の中で「わかる」「できる」「楽しい」などの成就感・満足感を感じることができたら「もっと〜してみたい」「今度はこんなことに取り組みたい」いう意欲が生まれ、やる気と自信を持っていきいきと伝え合う姿が見られるのではないだろうか。

そのためには、学習の基礎・基本(聞く・話す・読む・書く)を定着させることが大切である。また、子どもたちがいきいきと楽しく学び合う授業を仕組み、間違いや失敗を恐れず、自由に安心して発言できる学級づくりも欠かせない。相手の思いを分かろうとして聞くこと、自分の思いが相手に伝わるように話すことは、相手を大切にすることに他ならない。「聞く・話す」力を伸ばすことは、コミュニケーション能力を高め、仲間づくりにもつながると考える。

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