2010年度 校内研究


8.具体的な実践事例

1)授業改善部の取り組み

第2学年2組 国語科実践事例

1.単元名    どうぶつのひみつをしらべよう

          「ビーバーの大工事」

2.指導によせて
  (児童の実態)

本学級の取り組みとして、読むことについて物語教材では、叙述をもとに登場人物の気持ちに寄り添うことを大切にしてきた。「名前を見てちょうだい」では場面ごとにえっちゃんの気持ちが表れている叙述に着目し、その時のえっちゃんの気持ちを丁寧に考えていった。その際に役割を決め動作化を取り入れた音読をし、さらにえっちゃんの気持ちを味わえるようにした。そのことにより、子どもたちはえっちゃんの持つ勇気、正しさに気付くことができた。また自分の気持ちをまっすぐに伝えることにより、お母さんにもらった大切な帽子を自分の力で取り戻せたこと、最後まで決してあきらめずに乗り越えた強さを感じ取ることができた。説明的文章では、子どもたちが初発の感想で持った疑問をもとにし、叙述にそって話し合うことで解決し、自分の思いを持つことを大切にしてきた。「たんぽぽ」では、花の茎が低く倒れるわけや晴れた日に綿毛が開くわけ等を叙述にそって話し合うことにより、たんぽぽが仲間を増やすために様々な工夫をしていることに気付き、自分の思いを持つことができた。また視覚的な資料を用いることにより、文章に書かれていることをよりイメージしながら考えることができた。
 書くことについては、読み取ったことをもとに自分の思いをノートやワークシートに表現できるように取り組んできた。書く機会を多くすることにより、書くことに抵抗を持っていた児童も時間内に自分の思いを表現できるようになってきた。
 話す、聞くことについては、「あすなろっ子の聴き方、話し方」を常に意識させて取り組んできた。またハンドサインを活用することにより、友達の意見を自分の意見と比べて聞けるようにし、話す際にも生かせるようにした。徐々に友達の意見とつなげて自分の意見を話せるようになってきている。
 本単元においても叙述をもとにして正確に読み取ること、「ビーバーのひみつ図鑑」を作ることで読み取ったことを分かりやすく表現すること、読み取りについて自分の思いを持ち、友達と伝え合うことに取り組んでいきたい。そしてビーバーが自然界で生き抜くための知恵について十分に感じ取り、他の動物についての興味を持った読書へとつなげていければと考える。

《身に付けさせたい言語力について》

  指導要領の中で特に本単位で力をつけたいと考えているのは、以下の項目である。

読むこと
1) イ 時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと。
    エ 文章の中の大事な言葉や文を書き抜くこと。
    カ 楽しんだり知識を得たりするために、本や文章を選んで読むこと。

 話すこと・聞くこと
(1) エ 大事なことを落とさないようにしながら、興味を持って聞くこと。
    オ 互いの話を集中して聞き、話題に沿って話し合うこと。

 本教材「ビーバーの大工事」はカナダ、アラスカ、北アメリカに生息しているアメ リカビーバーを題材に、その生態を体の構造や機能と関連させて説明した文章である。 日本では、動物園以外で見る経験はあまりない動物であり、ましてやダム作りの様子な どほとんど知る機会はないと思われる。児童が持つビーバーの知識は少ないと予想され るだけに、ビーバーが体の構造を生かし家族と協力してダムを作りあげ、その内側に家 族を守る安全な巣を作る姿に興味を抱き、感動することができるであろう。そこで以下 の取り組みを中心として前述の言語力を身に付けさせたいと考える。

◎興味・関心を向上させるための取り組み

 本教材にはビーバーの様子が分かる写真や挿絵がふんだんに使われている。それら  の視覚的な資料を用い児童一人ひとりに「ビーバーのひみつ図鑑」作りに取り組ませ  たいと考える。図鑑作りに取り組む際には、叙述をもとに大事な言葉や文を書き抜き、  分かりやすく工夫して表現させ、また自分の考えを必ず入れて児童独自の図鑑を完成  させられるようにする。そのことで興味関心を持って読み取ることに加えて、ビーバ  ーに対する自分の思いを明確にさせることができると考える。また、読み取りをもと  に動物クイズ作りをすることで、他の動物への興味ある読書へつなげていきたい。

◎伝え合うための基礎的な学力を身に付けさせるための取り組み

 「ビーバーのひみつ図鑑」に書いた言葉を伝え合うことで、自ずから本文中の大事  な言葉に着目していくことになる。その際に必ず写真や挿絵と照応して説明させるよ  うにする。そのことで、よりイメージしながら叙述を理解できると考える。また、ビ  ーバーについての自分の思いを出し合うことにより、自分が気付かなかったビーバー  の良さに気付いていけるであろう。伝え合う際には、「あすなろっ子の聴き方、話し  方」や「声のものさし」を意識させ、ハンドサインを活用して友達の意見を自分の意  見と比べて聞き、友達の意見につなげて言えるように取り組んでいる。また動物クイ  ズ大会の際には対話の形で行い、互いに興味を持って集中して聞けるようにする。

◎支持的風土の育成のための取り組み

 友達の意見のよさを味わい合えるように、友達の意見をテーマごとに一覧にまとめ  て配布したり、掲示したり紹介したりする。そのことで子どもたちは今まで知らなか  った友達のよさに気付いていく。また、話す機会を多く持ち認め合うことで、みんな  の前でなかなか大きな声で発表できなかった児童も徐々に自信を持って発表できるよ  うになってきている。これらの取り組みを続けていきたい。

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